約束
2007年11月13日
自らの研修を終えた夕方から、つかの間の休息。
疲れた身体で、私が現在日本で一番気に入っている映画館へ。
それは千葉県の流山というころにある。
観たのはもちろん『ALWAYS 続・三丁目の夕日』―。
「この前、観たじゃん!」と言う声が聞こえてきそうだが…、
良い映画は、やはり何度みても良いのだ。
(※以下、少しネタばれを含みます)
特急「こだま」で、小雪扮するヒロミが文芸雑誌を読むシーンがある。
当時の車内と車窓から見える風景が、ストーリーにリアリティを与える。
当時の再現へのこだわりと執念に驚嘆する。
こだわりとは、愛情のひとつの形だと思う。製作者のこの作品への想いを感じるのだ。
皆が、吉岡秀隆扮する茶川の作品に心打たれる。
もちろん物語の中であることは分かっているが、
文学や芸術の持つ可能性とはこのようなものであってほしいと思う。
この映画のテーマは「約束を守る」ということなのだと、勝手に思っている。
いろいろな、さまざまな約束が出てくる。
茶川は、以前にヒロミと淳之介と3人で暮らすことを約束していた。
そして今回、淳之介のために芥川賞を取ることを約束する。
トモエは、かつて日本橋の上である約束をしていた。
新たに生まれる約束もある。
六子と武雄との約束。一平と美加との約束。
結果から考えると、その中には守れたものもあれば、守れなかったものもある。
しかし、その約束を守ろうと一生懸命になる姿は本当に美しい。
この映画の舞台は昭和30年代ではあるが、本質となるものは現在でも変わらないのだと思う。
そして私自身、他者との間のまたは自分との間のいろいろな約束を、守っていかねばならないのだと思う。
この点において唯一、昔にあって今にないものは、「戦争での死者との約束」なのではないだろうか。
「なぁ、生き残った俺らは、幸せになってもいいのかなぁ。」というセリフがある。
その約束があったから、(もう少しだけ上の世代の)我々の父母は奇跡ともいえる高度経済成長を成し遂げたのだろう。
それは今を生きる我々に欠けている観点なのだと思う。
【おまけ】
高校の先輩である渡辺いっけいや、地元・豊橋出身の平田満が出ているのも、嬉しいことでした。