O・ヘンリに『賢者の贈り物』という作品がある。 貧しい夫妻が相手にクリスマスプレゼントを買うお金を工面しようとする。 妻は、夫が祖父と父から受け継いで大切にしている金の懐中時計を吊るす鎖を買うために、自慢の髪を切って売ってしまう。 一方夫は、妻が欲しがっていた櫛を買うために、自慢の時計を質に入れていた… という話である。
それでも私は、物語の結末と同じように、 この一見愚かな行き違いが、最も賢明な行為であったと信じたいのである。